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第2章:なぜマグロキャスティングの道具は日本製が多いのか──10社以上が競うロッド市場の秘密

マグロ!本気コラム

はじめに

マグロキャスティングは世界25以上の国と地域で行われています。しかし、どの海域でアングラーのタックルボックスを覗いても、ロッド、リール、ライン、ルアーの多くに「Made in Japan」の刻印があります。なぜこれほどまでに日本製が多いのか。第2章では、その理由を掘り下げます。

世界の釣具市場と日本メーカーの存在感

2022年のグローバル釣具市場は約1兆9,000億円と推定される(参考:トラベシア)。この市場でDAIWA(グローブライド)の海外売上高は約1,201億円、SHIMANO(シマノ)は約1,110億円。3位のアメリカPure Fishing社が約600億円であることを考えると、日本の2社が圧倒的なシェアを握っていることがわかります。

ロッド──「専用設計」という日本の強み

マグロキャスティング用ロッドは、海外では汎用のオフショアロッドで代用されることが多い。一方、日本では「マグロ専用」を謳うロッドが10社以上から発売されています。それぞれのメーカーが独自の設計思想を持ち、激しい競争が品質向上を生んでいるのです。

SOULS(ソウルズ)
マグロキャスティングの元祖・佐藤偉知郎氏が立ち上げたブランド。レベルシリーズはPE6号からPE14号まで9機種をラインナップし、「一切の妥協を許さず、コストパフォーマンスも度外視して機能と性能を最大限に追求した」ロッド。アシュラシリーズはティップからグリップまで1本のブランクで構成し、アメリカ遠征でモンスタークラスの実績を持つ。(参考:SOULS公式 SALT ROD

DAIWA(ダイワ)
2025年発売の「ソルティガ C DOGFIGHT(ドッグファイト)」は佐藤偉知郎氏完全監修のマグロ専用キャスティングロッド。PE6号対応の84-6からPE12号対応の72-12まで4機種。シングルファイトを前提とし、太く粘り強いブランクで200 kg超の大型にも対応する。既存のソルティガ Cシリーズも中型マグロからヒラマサまで幅広くカバーする。(参考:DAIWA ソルティガC DOGFIGHT

SHIMANO(シマノ)
「オシアプラッガー BG BLUEFIN TUNA」シリーズは300 kgクラスの超大型マグロに対応するフラッグシップ。FLEX ENERGYデザインにより安定したキャストと高負荷ファイトを両立する。中堅価格帯の「オシアプラッガー フルスロットル」もPE8号対応で実績多数。(参考:SHIMANO オシアプラッガーBG

Ripple Fisher(リップルフィッシャー)
大物ロッド専門メーカー。BIG TUNAシリーズはJapan Specialの名を冠し、70(PE14号対応、モンスタークラス)、73(200 kg超対応)、76(290 kgの実績)、83、85F、86、87AS、710RTと豊富なラインナップ。日本のクロマグロフィールドに特化した設計で、多くのベテランアングラーに支持されている。(参考:RippleFisher BIG TUNA

がまかつ
2026年新製品「ラグゼ レイグリット TC」は200 kg超のマグロも射程圏内。「曲げて獲る」というがまかつの竿づくりの真髄を体現し、ロッドを90度以上に立てた高負荷ファイトを2時間以上継続できる設計。既存のレイグリットシリーズもヒラマサ・GT・大型マグロに対応する。(参考:がまかつ レイグリットTC

MC works’(MCワークス)
EXPLOSIONシリーズはソフトティップにハードバットという基本設計で、ブリからGT、マグロまで対応。807CTR「FULL CONTACT」は200 kgクラスの超大型用モデルとして即完売する人気ぶり。2025年には大型マグロ専用の「SLOW HAND ALL THAT TUNA」シリーズも追加された。(参考:MC works’ EXPLOSION

Carpenter(カーペンター)
ブルーチェイサー BLCシリーズはロッドとルアーの両方を自社開発する唯一のメーカー。BLC 83/40 R-Power MAXはモンスタークロマグロ対応で、遠投性能とファイト時の復元力を高次元で両立する。(参考:Carpenter BLC

ZENAQ(ゼナック)
Tobizo(トビゾー)シリーズは世界中のマグロゲームでテストを重ねたロッド。TC84-100Gはティップが硬めの設計で、60〜150 gのルアーの遠投に優れる。モンスタークラス用のTC77 Tuna Monster Busterは213 kgを40分でキャッチ&リリースした実績を持つ限定モデル。(参考:ZENAQ Tobizo

TENRYU(テンリュウ / 天龍)
Spike(スパイク)シリーズは「粘り」を重視した設計思想で定評がある。マグロの急な突っ込みにも竿全体がしなやかに追従し、ラインブレイクを防ぐ。Spike XPGはPE10〜12号対応のマグロ専用モデルで、100 kgオーバーの実績を持つ。(参考:TENRYU Spike

YAMAGA Blanks(ヤマガブランクス)
純国産ブランクスメーカー。ブルースナイパー 81/8 Blackyはキハダマグロをメインターゲットに据え、乗り合い船でのアンダーハンドキャストのしやすさとファイト時の安定感を追求したモデル。81/10 Blackyは100 kgクラスの大型にも対応するヘビーツナモデル。2025年にはボートキャスティング用の新シリーズも登場した。(参考:YAMAGA Blanks BlueSniper

その他、メジャークラフト(ジャイアントキリング)、アブガルシア(ソルティーステージ)、CB ONE / シービーワン(アンフィニティ)なども参入しており、入門用からハイエンドまで、日本だけで30機種以上のマグロ専用キャスティングロッドが存在します。

リール──DAIWA vs SHIMANO の頂上決戦

マグロキャスティングのリールは、事実上DAIWAとSHIMANOの2社が世界市場を独占しています。

DAIWA 25 SALTIGA
2025年モデルはMagseal(磁性流体防水)とDRDドラグ(ドラグ音が鳴る新機構)を搭載。4000番から30000番までの幅広いサイズ展開で、ライトショアゲームからPE14号を使う超大型クロマグロまで対応する。マグロキャスティングでは主に14000〜30000番が使用され、佐藤偉知郎氏のマグロ理論に基づく設計で大型マグロとのシングルファイトを前提としたドラグ性能を持つ。(参考:DAIWA 25 SALTIGA

SHIMANO STELLA SW
Infinity Drive、HAGANEギア、X-SHIPギアリングを搭載し、滑らかな巻き心地と耐久性を両立。4000番から30000番までラインナップされ、シーバスやライトショアから大型マグロのキャスティング・ジギングまで幅広くカバーする。マグロキャスティングでは主に14000〜30000番が選ばれる。

海外メーカーのPenn、Van Staal等もスピニングリールを製造しているが、マグロキャスティングの世界では精密なドラグ性能と耐塩水性能で日本の2社が圧倒的に優位に立っています。

ライン──VARIVAS が築いた基準

マグロキャスティングのライン選択において、VARIVAS(バリバス)がデファクトスタンダードを築いてきました。

VARIVAS AVANI Casting PE Si-X
Si-X製法による8本撚りPEラインで、PE8号、10号、12号を中心に展開。高い耐摩耗性と直線強度を両立し、多くのマグロキャスティングアングラーが第一選択として使用している。ショックリーダーはAVANI Casting Shock Leader Nylonで170〜300 lbをラインナップ。(参考:VARIVAS AVANI Casting PE

YGK よつあみ オッズポート
芯入り構造(インナーコア)を採用したPEラインで、通常のPEラインと比べて糸潰れや絡みに強い。大型マグロとの長時間ファイトでラインがガイドに食い込むトラブルを軽減する。芯入りPEという独自のアプローチで、VARIVASとは異なる方向からマグロキャスティング用ラインの選択肢を広げている。

その他、DAIWA(UVF ソルティガ デュラセンサー)、SHIMANO(オシア8)、SUNLINE(ソルティメイト PE)なども参入しており、ラインの分野でも日本メーカーが世界をリードしています。

ルアー──百花繚乱の日本ルアーメーカー

マグロキャスティング用ルアーは、日本から最も多くのメーカーが参入しているカテゴリー。大きく「ダイビングペンシル」「ポッパー」「シンキングペンシル」の3種類に分かれ、それぞれに専門性の高い製品が存在します。主なメーカーは以下の通りです。

SOULS(ソウルズ)、Carpenter(カーペンター)、SHIMANO(シマノ)、DAIWA(ダイワ)、Maria(マリア)、CB ONE(シービーワン)、DUO(デュオ)、TACKLE HOUSE(タックルハウス)、HAMMER HEAD(ハンマーヘッド)、LOCAL STANDARD(ローカルスタンダード)、Fish Trippers Village、Native Works、Wild Gambler など。

大手メーカーから少量生産のハンドメイドメーカーまで、日本だけで50種類以上のマグロ専用ルアーが市場に出回っています。これは他国には見られない現象であり、この激しい競争がルアーの品質と多様性を押し上げています。

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なぜ日本製が多いのか──5つの理由

① 素材技術力
1972年、グローブライド(現DAIWA)が世界初のカーボンファイバーロッドを開発して以来、日本は釣具用カーボン素材の最先端を走ってきました。プリプレグ(炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させたシート)の樹脂含有率を0.1%単位で調整し、積層角度を0.5°刻みで制御する技術は航空宇宙レベルの精密さです。

② 精密加工技術
リールのギアは1/1000 mm(ミクロン)単位の公差で切削されます。DAIWAのMagseal、SHIMANOのHAGANEボディなど、防水・防塵技術も日本メーカーの独壇場です。

③ フィールドテストの環境
日本国内だけでも津軽海峡、相模湾、玄界灘、丹後半島、茨城沖、沖縄と、キハダからクロマグロまで多様なフィールドが揃っています。各メーカーは年間500回以上のフィールドテストを行い、そのフィードバックを即座に製品開発に反映できるのです。

④ 中小専門メーカーの層の厚さ
富士工業(ロッドガイド、セラミックリングの耐摩耗性は従来比3倍で重量40%減)、高橋製作所(ギア加工)、松原織物(カーボンクロス)など、釣具のサプライチェーンを支える中小企業群が日本には存在します。SOULS、Ripple Fisher、CB ONE、Carpenter、ZENAQ、ヤマガブランクス等の少数精鋭メーカーは、このサプライチェーンがあるからこそ高品質な専用ロッドやルアーを生産できるのです。

⑤ 地域別・用途別の細分化
日本メーカーは年間500機種以上の新製品を北米、欧州、東南アジア向けに投入しており、地域の魚種・海況に合わせたモデルを揃える。この「痒いところに手が届く」製品展開が、世界中のアングラーに選ばれる理由です。

異業種からの技術スピルオーバー

日本の釣具が世界をリードするもう一つの理由は、異業種からの技術移転。カーボンファイバーは航空機や自動車、精密加工はスマートフォンや半導体、防腐処理は医療機器。日本の製造業の総合力が、マグロキャスティングという極限の釣りの道具に集約されています。

現在の主要タックル早見表

カテゴリー主要メーカー
ロッドSOULS / DAIWA / SHIMANO / Ripple Fisher / がまかつ / MC works’ / Carpenter / ZENAQ / TENRYU / YAMAGA Blanks / メジャークラフト / CB ONE
リールDAIWA / SHIMANO
ラインVARIVAS / YGK よつあみ / DAIWA / SHIMANO / SUNLINE
ルアーSOULS / Carpenter / SHIMANO / DAIWA / Maria / CB ONE / DUO / TACKLE HOUSE / HAMMER HEAD / LOCAL STANDARD / Fish Trippers Village 他

あとがき

第1章でマグロキャスティングが日本発祥であることを書きました。第2章で明らかになったのは、発祥の地であるがゆえに、日本には世界のどこよりも多くの専用メーカーが集まり、互いに競争し、技術を磨き上げてきたという事実です。SOULSのような元祖メーカーから、DAIWAやSHIMANOのような巨大企業、Ripple FisherやZENAQのような専門メーカーまで、この多層的な競争構造こそが「なぜ日本製が多いのか」の最大の答えでしょう。

次回、第3章では「世界のマグロキャスティング」と題して、日本発の釣りが25以上の国と地域でどのように広がっているかを紹介します。

参考ソース

ソースURL
トラベシア 世界の釣具市場travesia.jp/insights/109
SOULS公式 SALT RODsouls.jp/products/salt-rod/
DAIWA ソルティガC DOGFIGHTdaiwa.com(DOGFIGHT)
DAIWA 25 SALTIGAdaiwa.com(25SALTIGA)
SHIMANO オシアプラッガーBGshimano.com(オシアプラッガーBG)
RippleFisher BIG TUNAripplefisher.com(BIG TUNA 70)
がまかつ レイグリットTCgamakatsu.co.jp(レイグリットTC)
MC works’ EXPLOSIONmcworks.jp(EXPLOSION)
Carpenter BLCcarpenter.ne.jp(BLC)
ZENAQ Tobizozenaq-store.jp(Tobizo)
TENRYU Spiketenryu-magna.com(Spike)
YAMAGA Blanks BlueSniperyamaga-blanks.com(BlueSniper)
VARIVAS AVANI Casting PEvarivas.co.jp(AVANI Casting PE)
Anglers Time 佐藤偉知郎氏anglers-time.com/7672/
JDM Reel Hubjdmreelhub.com(JDM Tackle)

次回:第3章「世界のマグロキャスティング」

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